相続発生時後、遺言書がある場合とない場合で、動き方が大きく異なります。
遺言書がある場合、その遺言が有効であれば、
遺言書に書かれている内容のとおりに相続手続きが出来ます。
遺言が有効かどうかとは、
全文(財産目録箇所を除く)自書、日付、押印が押されているという形式面で有効であることに加え、
どの遺産をだれに相続させるか、といった内容が有効である必要があります。
遺言が形式面と内容面のどちらも有効であれば、
その後の不動産名義や銀行・証券会社等の相続手続きは、
遺言の内容通りに進めることが可能です。
遺言書が公正証書遺言(公証人役場で作成したもの)の場合や、
自筆証書遺言保管制度(法務局で保管するもの)の場合は、
家庭裁判所での検認が不要です。
また、必要な戸籍も亡くなった方(被相続人)の除籍と、
遺言により権利を取得する方(受遺者)の現在戸籍があれば良いため、
手続きもスムーズに進めることが可能です。
自筆証書遺言(ご自身で作成し、ご自身で保管しているもの)は、
死後に相続人から家庭裁判所に検認の申立をする必要があります。
この検認の際、被相続人の死亡から出生に遡る全ての戸籍等が必要となります。
遺言書が無い場合はどのようにするでしょうか。
法定相続分といって、民法で定められた相続分通りに相続手続きをするのであれば、
必要な戸籍類を収集し、それを提出すれば、手続きは可能です。
例えば、夫婦と子供2名のご家庭の場合で、
仮にご主人(被相続人)が亡くなったとしましょう。
民法で定められた法定相続分は、
奥さん2/4、お子さんがそれぞれ1/4ずつになります。
遺言書が無い場合でも、上記持分で不動産名義等を変更する際は、
戸籍関係(被相続人の死亡から出生に遡る戸籍と、奥さん、お子さんそれぞれの現在戸籍)や、
住民票等を提出すれば手続きは可能です。
遺言書が無い場合で、かつ法定相続分以外の割合で相続をしたい場合はどうなるでしょうか。
この場合は、遺産分割協議書が必要です。
次回に続きます。
根津徹也