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遺産分割協議書が必要なケース

相続が発生し、遺言書がなく、法定相続分以外の名義に変更したい場合、

遺産分割協議書が必要となります。

 

遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印する必要があります。

印鑑登録証明書を添えて。

 

 

例えば、ご主人が死亡し、相続人は妻と子が2人の場合。

 

この場合、民法で決められている法定相続分は、2/4妻、1/4子、1/4子です。

 

 

ご主人名義の自宅を、妻名義(単有名義)にするには、

妻と、子2人が実印で押印した遺産分割協議書が必要です。

 

子が成人(18歳以上)であれば良いのですが、

まだ未成年の場合は、注意が必要です。

 

 

18歳未満の場合は未成年者ですので、

親権者(妻)が子供に代わり契約等の法律行為を行います。

 

 

今回の遺産分割協議に関しても、妻が親権者として、

子供の代わりに押印をしたいところですが、

遺産分割協議に関して言うと、親と子は利益が相反する関係となるため、

親が代わりに押印することは出来ません。

 

無いとは思いますが、親が勝手に親の都合の良いように、

子供の権利を害してしまうことを防ぐため、このような法律があります。

 

 

この場合、子それぞれに関して特別代理人の選任申立を家庭裁判所へ行う必要があります。

 

選ばれた特別代理人は、子の代理人として遺産分割協議に押印することになります。

 

 

しかし、特別代理人が選任されれば、名義を妻単独名義に変更できるかというと、

そうとは限りません。

 

特別代理人は、子の利益の保護ために選ばれているため、

子が取得する遺産を法定相続分より少なくする行為は出来ないためです。

 

 

では、どうすれば自宅を妻名義に変更できるでしょうか。

 

 

例えば、自宅の他に預貯金や不動産等の遺産があれば、

これを子名義にし、自宅は妻名義にするといったように、

法定相続分以上を子が取得する遺産分割内容であれば、

認められる可能性が高いです。

 

 

このように遺言書が無い場合は、

相続関係者(上述の未成年者がいる場合、認知症の方がいる場合、行方不明者がいる場合等)や、

遺産内容によっては手続きが煩雑になる可能性がありますので、ご注意ください。

 

 

根津徹也