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司法書士の業務(相続、後見、裁判編)

 

前回、司法書士の業務として、

不動産登記(権利に関する登記)、商業(法人)登記をご紹介しました。

 

 

今回は、司法書士の業務(相続、後見、裁判編)です。

 

 

【相続、後見】

 

相続が発生すると、不動産の相続登記や、預貯金・有価証券口座の解約等を

する必要があります。

 

不動産の相続登記はもちろんのこと、

預貯金・有価証券口座の解約等の行為も、

全て司法書士が行うことが可能です。

 

 

後見業務とは、認知症等により法律行為が難しくなった方のために後見人が付き、

その後見人が本人(被後見人)の代わりに法律行為を行います。

 

例えば、高齢で認知症が進行してしまうと、

家を売買したり、預貯金を引き落としたり、

所有不動産に抵当権を設定したりといったことが出来なくなります。

 

その際には、家庭裁判所へ成年後見の申立を行い、

先述の後見人を付す手続きが必要となります。

 

成年後見制度は、本人(被後見人)の利益を保護する制度です。

 

そのため、預金を有価証券等や不動産投資等で運用することは

基本的には出来ません。元本を棄損するおそれがあるためです。

 

 

本人名義の土地に、その子がローンを組んで建物を建築した場合、

土地と建物に金融機関の抵当権を設定することが通常です。

 

その際にも、土地所有者の認知機能に問題があり、

抵当権設定が出来ず、計画が頓挫するということもあります。

 

 

認知症になってしまった場合は、成年後見制度を利用する他ありません。

 

しかし、認知症になる前であれば、任意後見契約や民事信託(家族信託)を利用し、

将来の不測の事態に備えることも可能です。

 

 

【裁判】

 

司法書士は、法務大臣が実施する特別研修(通称 100時間研修)を受け、

認定考査試験に合格することにより、裁判業務を行うことが可能です。

 

ただし、訴額(裁判で争われる金銭価値)が140万円以内で、

かつ簡易裁判所での裁判に限ります。

 

当事務所でも裁判業務を行えますが、

裁判は元々弁護士の分野であることから、

信頼のおける弁護士を紹介することも多くあります。

 

 

当事務所における裁判業務としては、相続手続きに絡む

相続放棄申述書や、遺産分割等のための特別代理人選任申立書の

作成等の業務が大半です。

 

また、昔に個人名義で設定された抵当権を抹消するために

裁判を利用するといったこともございます。

 

 

根津徹也