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遺言書の作成で後悔しないために!司法書士が解説する正しい遺言書の書き方

 

司法書士の根津です。

 

我が国では超高齢化社会に突入しており、それに伴い多くの相続が発生しています。

 

その相続対策として遺言書がありますが、「遺言書を残しておけば安心…」と思っていませんか?

しかし残念ながら形式不備で無効になってしまう遺言書も少なくありません。

 

本記事では司法書士が、正しい遺言書の作成ポイントと注意点を解説します。

 

 

 


 

 

 

 

第1章:遺言書とは?遺言でトラブル回避

  • 遺言書とは、正しくは遺言(いごん、と読みます)と言い、方式等が民法で定められています。

  • 相続発生後、トラブルに発展するリスクがある場合としては、

   例1)隠し子がいる

   例2)子供がいない(きょうだいが相続人になる)

   例3)元配偶者との間に子がいる

   例4)相続人同士が不仲

   例5)相続人が行方不明  等々

 

 

これらの場合、なぜトラブルに発展するのでしょうか?

それは、遺言が無い場合は、相続人同士で遺産分割協議を行い、相続人全員の同意が必要となるためです。

 

しかし、遺言があれば遺産分割協議が不要となるため、トラブルや相続手続きの複雑化を回避することが可能になるのです。

 


 

第2章:遺言書の種類と特徴

  1. 自筆証書遺言

    • メリット:費用を抑えられる、

    • デメリット:形式不備で無効リスク、紛失や改ざんリスク、家庭裁判所の検認が必要

    • 2020年の法改正で、自筆証書遺言書法務局保管制度が開始されました。この制度を利用した遺言は検認が不要です

  2. 公正証書遺言

    • メリット:内容や形式面での確実性が高い、紛失・改ざん防止、検認不要

    • デメリット:費用がかかる、証人2名が必要 ※証人は、遺言者の妻といった推定相続人はなることができません

  3. 秘密証書遺言

    • 遺言内容は秘密にされていて、遺言があるという事実を公証人や証人が証明する形の遺言

    • ほとんど利用されておらず、そもそも遺言内容が無効となるリスクがあるため、おすすめしません

 


 

第3章:遺言書作成でよくある失敗例

  • 自筆証書遺言を作成したが、形式不備で無効になってしまった

  • 遺産を誰に相続させるかの書き方があいまいで争いに

  • 遺産の記載漏れで一部の財産が遺産分割協議の対象に

  • 更新を忘れたために現状と合わない内容になっていた等々

例:「長男に自宅を相続させる」という内容だけでは、土地・建物の登記名義変更に支障が出ることがあります

 


 

第4章:司法書士に依頼するメリット

  • 形式不備の防止(無効リスク回避)

  • 相続登記までワンストップでサポート可能

  • 文案作成や、証人として公正証書遺言の作成手続きを支援

  • 相続人調査や財産調査のサポート

  • 遺言執行者となり、面倒な相続手続きを代理することが可能

 


 

第5章:費用と手続きの流れ

  • 遺言書作成支援の費用相場

    • 自筆証書遺言サポート:約5万円~約20万円

    • 公正証書遺言サポート:約5万円~約20万円

    • 公証人手数料や実費は別途必要

    • 遺産額や案件の複雑さにより増減あり
  • 相談から遺言書完成までの一般的な流れ

    1. 初回相談(現状ヒアリング)

    2. 相続人調査・財産調査

    3. 遺言内容の文案作成

    4. 遺言書完成・保管

 


 

第6章:まとめ

  • 先述したとおり、内容・形式ともに有効な遺言があれば、トラブル防止にとても効果があります

  • しかし、有効であり、かつ遺留分や税務にも配慮した遺言を作成するのは、難易度が高いです
  • そのため、相続や遺言に関する知識や経験を多く積んだ専門家への相談をすることが、後々のトラブルを防ぐことに繋がるでしょう