死後の手続き

 

お亡くなりになったあと、不動産や預貯金等の遺産につき、相続人への名義変更が必要になります。

 

とくに相続登記については、2024/4/1より義務化され、期限内(3年以内)に登記をしないと10万円以下の過料(行政上のペナルティ)に処せられる場合が有ります。

 

これは、相続税の申告期限(10か月)よりも余裕が有りますが、放っておくとさらに相続関係も複雑となりますので、落ち着いた段階で早めに行動するこをおすすめします。

 

この死後の手続きには、大きく分けて2つのパターンがあります。

 

1.遺言書が無い場合(遺産分割協議や法定相続)

2.遺言書が有る場合

 

以下で実際のケースによる手続き内容をご紹介します。

1.遺言書が無い場合(遺産分割協議や法定相続)

 

まずは、戸籍関係一式を取得し、「相続人が誰か」を確定する必要があります。

 

相続人が誰かだなんて分かってるよ、と思われると思いますが、故人の愛人との子も相続人になりますので、そのような相続人を把握するためにも、戸籍を全て回収する必要があるのです。

 

その相続人が確定した後、相続人全員で遺産分割協議を行います。

例えば、不動産は配偶者が取得し、長男は預金、長女は株式、というように、相続人全員で自由に決めることが出来ます。

ちなみに、この遺産分割協議を証するための遺産分割協議書は、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。

 

この遺産分割協議がまとまらない場合、裁判所での手続きへ移行します。

調停・裁判を経て、相続分を決めていく必要があり、時間も費用もかかり、さらには心労も相当なものとなるでしょう。

 

また、協議がまとまらない場合、法定相続分で財産の相続手続きをすることも可能です。

この法定相続分とは、民法で決められた以下の相続分を言います。

 

(法定相続分)

民法 第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

 

しかし、法定相続で相続手続きをすると共有状態となることが多いため、あまり好ましい状態ではありません。

 

例えば、安易に兄弟AとBが法定相続による相続登記をしたとします。

するとAが亡くなったあとは、Aの相続人とBが共有状態となり、たとえAとBが良好な関係であったとしても、Aの相続人とBの関係が良好とは限りません。そうして意見がまとまらずに争いに発展するという可能性もあります。

 

そのため、やはり遺言書が無い場合は、遺産分割協議をまとめるのが最優先です。

ちなみに遺産分割協議書は、我々司法書士等が作成することが可能です。

後のトラブルを避ける意味でも、専門家に作成を依頼することをご検討ください。

2.遺言書が有る場合

 

遺言書が有る場合、基本的には遺言書内容のとおり相続手続きを行います。

 

また、公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言の場合は、故人の戸籍を全て揃える必要はありません。

 

これらは遺言書を作成しておくことのメリットでもあります。

 

なぜ戸籍を全て揃える必要がないかというと、遺言書内容に従って、相続手続きをするため、「相続人全員を確定し、遺産分割協議をする」という必要がないためです。

 

しかし、自筆証書遺言の場合には家庭裁判所の検認手続きが必要で、その際には戸籍が必要です。

そこの検認を経ずに遺言書を開封してしまうと5万円以下の過料(行政上のペナルティ)がかかる場合がありますので、遺言書を発見された際は安易に開封せず、我々専門家へご相談ください。

 

ちなみに公正証書遺言や、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、検認不要です。

相続は司法書士へご相談ください

 

 お時間がある方は、色々とお調べになってご自身で相続手続きを行うことも可能です。

その際は次のようなことにご留意ください。

 

・市道やごみ置き場持ち分の相続手続き漏れ

・相談や補正等のために法務局等の役所へ何度も足を運ばなければならない

・抵当権や仮登記の抹消登記等、相続登記以外の手続きができておらず、売却ができない

 

このような負担やリスクを負うよりも、無駄なく、スピーディーに、完璧な処理をしてくれる専門家へご依頼いただくのがよいと私個人としては考えます。

 

当事務所は相続に関する専門家集団ですので、お悩みごとがある際はお気軽にご相談ください。