終活(生前対策)

 

生前お世話になった方に、財産を譲りたい。

今は元気だが、今後認知症になった時の事が心配。

終活というけど、何から始めれば良いのか分からない…。

 

一口に終活と言っても、人それぞれ環境が違いますので、知人の真似事ではなく、その方それぞれに合った方法を選択する必要があります。

 

当事務所では、長年蓄積した知識や経験をもとに、ご依頼者様にとっての最適解を提案いたします。

具体的には、以下のような方法があります。

 

1.遺言書作成

2.民事信託(いわゆる家族信託)

3.任意後見契約

 

順番に見ていきましょう。

1.遺言書作成

相続発生後、残された相続人間で揉めないよう、

生前に遺言を残す方法があります。

 

その遺言の種類は、大きく分けると3つあります。

 

①ご自身で書いたものを保管しておく方法

(自筆証書遺言)

②公証役場という所に作成時から関与してもらい保管してもらう方法

(公正証書遺言)

③法務局へ預ける方法

(2020/7/10スタート。自筆証書遺言書保管制度)

 

①は比較的廉価で作成できますが、改ざんや紛失の可能性があるのと、相続発生後に家庭裁判所で検認という手続きが必要です。

 

②は公証人の費用等がかかりますが、内容をチェックしてくれることや、原本は公証役場で保管しますので、改ざん紛失の恐れがありません。また、公証人が本人(遺言者)の意思や本人確認をするため、死後その遺言書の有効性を争うという可能性を幾分排除できることもあり、一番おすすめです。また、検認が不要というのもメリットの一つです。

 

③は比較的最近に出来た制度で、①と②の折衷案と言えば分かり易いでしょうか。こちらも検認が不要というメリットがあります。また、希望をすれば、遺言者の死亡の通知や、法務局に遺言書が保管されている旨を、相続人に通知する制度が利用できます。これは①や②にはないメリットと言えます。ただ、法務局では、遺言内容のチェックはしてくれません。そのため、遺言内容は事前に司法書士等の専門家に事前に相談をしておくことを強くおすすめします。

 

遺言を作成する際、遺言執行者を指定しておくことが重要です。

遺言執行者とは読んで字のごとく、遺言内容を実際に執行する代理人です。

遺言執行者を我々司法書士等のプロへ指定しておくと、預貯金や有価証券、不動産等の煩雑な相続手続きを、スムーズに代行してくれるため、残された遺族にとってメリットが大きいです。


2.民事信託(家族信託)

民事信託とは、財産を信用出来る誰かに預けて、預けられた方(受託者)が契約内容に沿って財産を運用する制度です。

 

例えば、父親がアパートを所有していて、今後認知機能が衰えていく事に備え、今のうちにアパートを息子に信託をしておく、という際に利用できます。

 

そのようにアパートを息子に信託することにより、各部屋の賃貸借契約や、管理業務等は息子に任せ、賃料は父親が受け取るといったことが可能となります。

 

仮に信託をしないまま所有者(上記の例では父親)が認知症を発症してしまうと、アパートの修繕や売却等ができず、そのような行為をしたいのであれば成年後見制度というものを利用する必要があります。

 

成年後見制度は成年被後見人(父親)の財産を守るという点を重視した制度であり、この点については良い制度です。しかし、財産の運用・処分という観点からすると自由度が制限されるというデメリットもあります。そのため、今後財産を運用・処分する予定のある方は、認知症になる前に我々司法書士等の専門家に相談し、対策をしておくことをおすすめします。


3.任意後見契約

上記民事信託のところで少し触れましたが、認知症発症後には成年後見制度(いわゆる法定後見)というものを利用しないと、財産の処分が出来ません。

 

その法定後見の場合、認知症の方の代理人である成年後見人(親族や司法書士・弁護士)が必ず選ばれます。成年後見人は裁判所が選任するため、必ずしも親族が望んだ方がなるとは限りません。ここが大きなデメリットの一つです。

 

翻って任意後見契約を認知症発症前に結んでおけば、本人が望んだ方が必ず代理人に選ばれます。この認知症発症前に契約を結ぶというのが、大事なポイントです。繰り返しになりますが、認知症を発症してしまった場合は、法定後見の範疇となりますので、ご注意ください。

 

ちなみに、当事務所には専門職成年後見人で構成する公益社団法人リーガルサポートに在籍している司法書士が在籍しておりますので、任意後見契約の代理人としてご依頼いただいたり、法定後見の後見人候補者となることも可能です。


まとめ

 

上記のとおり、終活(生前対策)には様々な方法があります。

 それ故、方法や選択を誤るとトラブルに発展しかねません。

 

例えば、遺言書を作成するにも遺留分(相続人の相続権)を侵害するような内容ですと、遺言内容を実現出来なかったり、残念なことにこのような遺言書があるがために、トラブルへ発展するケースもあります。

 

そのようなトラブルを避けるため、我々司法書士等へご相談いただき、お客様の要望に最も適したプランを提案してもらいましょう。

 

このように相続には十人十色の人間模様がありますので、どの方法を選択するか、または併用するか等、我々のような相続に精通している専門家へ相談されることを強くおすすめします。